ごあいさつ

放送・映像メディア業界において、HD化や地上デジタル放送への完全移行が一段落した今、次の大きな課題としてのファイルベース運用に向けた取り組みがまさに本格的に始まろうとしています。

ここで鍵となるのが、映像素材の業界標準ファイルフォーマットとして2004年にSMPTEが策定したMXF (Material eXchange Format)であり、また素材検索のためのメタデータの事実上の業界標準表記方法となったXML (eXtensible Markup Language)です。

ただこれらの標準化技術は、従来から放送・映像メディア業界が慣れ親しんできたSDI (Serial Digital Interface)やRS422プロトコルと異なり、その対応さえ謳われていれば複数の機器が問題なくつながるといった類のものではありません。これはそれらが、用途に依存しない共通基盤部分と特定用途に依存した部分といった階層構造にて構成され、後者へは往々にして機器によって異なった対応をしているためです。

実際、HD化に先行してSDの段階からファイルベース運用への取り組みを始めた欧米各国の放送局では早くからこの問題に直面し、その対応に試行錯誤してきました。そしてこれらの技術を熟知したプロフェッショナルの支援の元、ある放送局はMXFやXML仕様を自らの目的に合致したかたちにカスタマイズの上、それを取り扱う専用アプリを開発したり、別の放送局は所定の機器との個別の接続保証を求めて機器ベンダと詳細な技術交渉をおこなったりといった事例が散見されます。

さらにそれらが発展して、有力放送局や機器ベンダが結集し、MXFやXMLの用途別の制限仕様の策定すなわち「運用の業界ルール化」といった取り組みが、EBUAMWAなどの業界団体を舞台にして活発に展開されています。

映像制作においてファイルベース運用そのものは単なる手段に過ぎませんが、求められる技術体系が大幅に変わりつつある今、最終目標を明確に定めた上で、改めて必要技術のキホンと業界動向を見定め、使えるものはうまく使いこなすといった姿勢がファイルベース運用を成功裏に導くための鍵になると考えています。

わたしたちメタフロンティアは、これまでに培ってきたファイルベース運用の関連技術に関する深い技術知識と幅広い経験、そしてワールドワイドな人的ネットワークを最大限に活用し、業界におけるファイルベース運用の発展と普及に力強く貢献してまいります。

つきましては、業界関係者各位からのご指導、ご鞭撻を、心よりお願い申し上げます。

2012年1月5日

メタフロンティア合同会社

代表   柴田 賀昭